『第3回市民・NGO基礎報告書・群馬」(2007年)』
I 保育の現場から
1 子どもたちの笑顔に支えられて
金澤 真由美(おひさま倉賀野保育園)
おひさま倉賀野保育園は、2006年度定員120名のところ、現在0歳児から5歳児まで142名の子どもたちが在園しています。保育園は今、さまざまなニーズを担う場になっています。そのひとつとして、「子育て支援センター」があります。保育園だからこそできる子育て支援を目指し、給食の試食会、お父さんと遊ぼう、たんぽぽ広場、子育て相談、体験保育など、さまざまな企画を通して、お母さん同士が知り合う機会をつくっています。その他にも、一時保育(短期または短時間保育)を行っています。
2 今を生きる子どもたちに必要なもの
竹村 悦子(つくしんぼ保育園)
現在、男の子14人、女の子10人、計24人の年長児を、元気のいい若い男性保育士と私の2人で担任しています。いろいろな状況の子どもたちが、いろいろな環境の中で育ち、入園してきます。私たちは、共に生きる一先輩として子どもたちと接していきたい、個性を大切にしながら一人一人が自分をいっぱい出せる生活をしていきたい、保育園の生活が楽しい事でいっぱいになるといい、と願っています。
3 保育園の子どもたちと「絵カルタ」作りに取り組んで
小林 美代子(群馬子どもの権利委員会)
(1)子どものけんりカルタ群馬子どもの権利委員会は1993年に設立されました。以後ずっと「子どもの権利条約」の広報、普及を大きな柱として活動してまいりました。
子どもの権利を擁護し、発展させることを目的に、子どもたちの日常生活の中で条約の精神が具体的に生かされることを願ってきました。しかし、あまりにも条約の文言が難しすぎて、子どもたちのもとへなかなか届けられないという思いも強くありました。そこで会では、「子どもたちにわかることばで!!」と考え、独自のパンフやカルタを作ってきました。
4 日本の子育てと国の保育政策について
下出 ふじ子(おひさま飯塚保育園)
日本には義務教育開始前の6歳までの期間、「保育所(園)」と「幼稚園」の2とおりの保育機関があります。保育所で0歳〜6歳まで、最長で6年間保育を受ける子どもと、0歳から3歳までは母親が育て、3歳〜6歳まで、幼稚園で保育される子どもがいます。私は保育園で働いています。私たちの園では、子どもたちが健全な成長、発達することを保障しています。そのために、そのことだけで1年に6回、職員会議の中で一人一人の育ちを確かめ合うために、順調に育っているか話し合います。しかし、ここ数年は特に子どもたちの育ちに変化がおきています。
II 小学校の現場から
5 持ってくる鉛筆の数まで決めるのが教育?
匿名希望(小学校教諭)
先日、小学校の職員会議で、生徒指導担当の先生から次のような提案がありました。
- 子どもの持ってくるえんぴつの本数は何本か?
- 下じきはどんなものがよいか?
6 2006年2月6日 退職を決意した。それは・・・
新井 富子(全群馬教職員組合教育研究所員)
今年の2月6日、私は退職を決意し、3月31日付けで退職の辞令を受け取った。定年まで3年を残しての退職だった。通算34年間の教員生活だった。始まりは、佐波の境町立采女小学校だった。采女小に新任として赴任していなかったなら今の私はなかっただろう。そしてもしかしたら、まだ教員を続けていたかも知れない。それも、体制にどっぷりと漬かった鼻持ちならない教員として。
III 不登校・登校拒否にかかわって
7 不登校の子どもの居場所・今生塾の子どもたち
金田 倫光(あかぎしぜん学園今生塾)
(1) 今生塾の誕生80年代はじめ、校内暴力がおさえこまれたあと、登校拒否が急増してきた。学校に競争と選別と管理の教育が押し寄せてきたからだ。子ども自らが生命力や個性を発揮してのびのび育っていくものでなく、反対に枠にはめられ、おしつぶされていく場が学校になってしまった。
8 登校拒否を考えるぐんまネットワーク
戸川 節子(登校拒否を考えるぐんまネットワーク事務局)
(1) はじめに1995年9月、父母、教師、弁護士、カウンセラーなどたくさんの人の応援を受けて「登校拒否を考えるぐんまネットワーク」が結成されました。
IV 文化活動を通しての取り組み
9 大人と子どもで歌う合唱団「ぐんま子どもの人権宣言合唱団」
歌に寄せる団員の思い
横田 公代(ぐんま子どもの人権宣言合唱団)
「ぐんま子どもの人権宣言合唱団」は、1996年10月に、合唱組曲「子どもの人権宣言」(清水則夫・高原久美作詞、藤村記一郎作曲)を歌うために結成されました。この合唱組曲は、子どもの権利条約を広めるために作られたものです。合唱団は今年の10月で10年目を迎えました。県内では珍しい、大人と子どもで歌う合唱団です。団員は、家族での参加はもちろん、大人だけ、子どもだけの参加者も含め、現在(10期)は大人40人、子ども55人の構成です。これは、この10年間、多少の増減はあっても、ほぼ同じような状況です。
V 人権裁判事例から
10 ラグビー部員自殺事件裁判の画期的和解
大塚 武一(弁護士・大塚法律事務所)
2002年3月、群馬県高崎市にある東京農業大学第二高等学校(以下、「農大二高」という)の2年生でラグビー部員だった金沢昌輝君は、長時間の練習と監督らの厳しい指導による身体的・精神的苦痛でこれまでも過呼吸を起こしていましたが、合宿初日のこの日も自宅で過呼吸を発症、しかし合宿参加を強要され、直後に自殺しました。その後の学校側の誠意のなさに、両親は1年後、告訴に踏み切ったのです。