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 第80号(全16ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2020年1月/No.80(通算96号)

シリーズ:
 『子どもの権利条約31条:
  余暇・休息、遊び・体験、文化・芸術』-④
様々な世代が交流して創り上げる
合唱劇『ぞうれっしゃがやってきた』
象のイラスト

「シアター・ポランの広場」誕生
 平成28年の夏、音楽・演劇・絵画・映画製作に長年関わってきた数人の仲間で、「大人も子どもも一緒に楽しめる創作活動」が話題になり、『ぞうれっしゃがやってきた』に取り組んでみよう!と立ち上げたのが、私たちの団体「シアター・ポランの広場」でした。
 学校教育や社会教育における音楽(創作)活動では、その構成員がほぼ同世代となり、世代間の交流は難しい。音楽を中心に据えた創作活動を通して様々な世代の人たちが集い交流することを目的として私たちの団体は生まれました。
 『ポランの広場』とは、「誰もが仲よく、共に力を出し合って工夫していく、理想の広場」として宮沢賢治が考えました。

絵本『ぞうれっしゃがやってきた』と
合唱劇『ぞうれっしゃがやってきた』

 昭和20年、長い戦争が終わった時、日本の動物園で生き残った象は、たった2頭でした。名古屋市営東山動物園のマカニーとエルドです。戦時、全国の猛獣が行政命令で殺処分される中、木下サーカスから買い取った4頭のうちの2頭を北王園長・三井獣医らが守り抜いたのでした。
ぞうれっしゃ写真  戦後、台東区子ども議会から、東山動物園に象を貸して欲しいと請願が出されましたが、マカニーもエルドも高齢なため断念。
 代替案として、象を見るために名古屋に向かう「ぞうれっしゃ」が全国から運行されました。GHQの鉄道管理下の時代に、東京・名古屋の鉄道職員が何度も請願を繰り返し、この年、1万数千人もの子どもたちが象に会う夢を実現したのです。 書籍『ぞうれしゃがやってきた』
 この事実をまとめたお話が、昭和58年に小出隆司氏の原作箕田源二郎氏の絵で岩崎書店から出版されました。
 絵本出版の3年後の昭和61年、このお話をもとに「愛知子どもの幸せと平和を願う合唱団」と作詞の清水則雄、作曲の藤村紀一郎の両氏の手で、合唱構成の組曲(全11曲)が誕生しました。

はじめての発表
 発足した年の11月、団員募集のデモンストレーションを兼ね、沼田市内(えびす講の本町通り)で、覚えたての『ぞうれっしゃがやってきた』より2曲を12人(大人5人・子ども7人)で歌いました。 えびす講で  その後、利根沼田地区の3か所(沼田市中央公民館・片品村鎌田児童館・みなかみ町カルチャーセンター)での体験会には、それぞれ約30人、計約90人の大人・子どもが集まり、『ぞうれっしゃがやってきた』より2曲を歌って楽しむことができました。

練習開始
 月に2回(第2・第4日曜の午前、沼田中央公民館)の練習が、平成29年1月より始まりました。正式に入団してくれた3歳~70代までの団員たちと、まず「わらべうた」で体も動かしながらふれ合います。 写真 ママの背中の赤ちゃんもいれば、怪獣(園児)もいる。「腰が痛い」と言いつつ笑顔で楽しむ70代…全11曲から成る『ぞうれっしゃがやってきた』の中からまず、元気な曲:1番「サーカスのうた」・10番「ぞうれっしゃよはしれ」・11番「平和とぞうと子どもたち」にとりかかりました。曲は子どもたちだけの部分や大人と子どもで歌う部分、園長さんのソロ・大人だけの部分、セリフ等、お話に基づいて変化していくので、小さな子どもも飽きずに楽しんで練習についてきました。

 休憩時間に、おしゃべりや追いかけっこをして遊ぶ子ども達を見ていると、「こういう集まりっていいなぁ」と、毎回、あたたかい気持ちになります。

地域で小さな発表会
わらべフェスタ  およそ3ヶ月に2回程度のペースで、沼田市内の小さな発表会(わらべフェスタ・歌の森サラダパーク・生協まつり・市民音楽祭・公民館まつり、他)で2~3曲を発表する機会をいただくことができ、発表を聴いて下さった方が入団して下さり、少しずつ団員が増えました。

第1回公演(平成29年9月3日)
第1回公演  団員が増え、練習が進み、「大きなステージで発表しよう」と、みなかみ町カルチャーセンター(400席)で練習の成果を発表しました。途中に劇をはさみ、フルート・トロンボーン・チェロの演奏も入れ、大道具(象4頭)も加えて、満席のお客様の前で心を込めて発表できました。[出演者50人(大人36人・子ども14人)、スタッフ8人]

『シアター・ポランの広場』の素晴らしい力
 大きな発表を計画して改めて感じた ことは、様々な世代・職業・立場の団員から成る私たちの団の実力。広告集め・チケット販売はもちろんのこと、衣装や大道具製作、録画、打ち上げ会の設営…などなど。広い人脈・様々な専門的知識・技術、見事なチームワーク! 大人も子どもも、新しい仲間とたちまち仲良くなり、助け合い…(ママたちは、自分の子じゃなくても、送迎にオムツ交換に・・)ずっと同じ曲を練習・発表してるため、特にセリフの部分などは急な代役もお手の物。大人も子どもも、誰の役でもできてしまいます!

第2回公演(平成31年6月30日)
 地域の小さな発表会を重ね、一段と輪が広がり、チームワークも歌の実力も向上し、今年の6月30日に2回目の公演を利根沼田文化会館大ホール(900席)で開催することができました。 第2回 公演  この絵本の著者である小出隆司さんが名古屋より来て下さり、お話して下さいました。一緒に歌って下さったので、本番の最年長者でした(81歳)! 最年少は、ママの背中で初演を聴いていたSちゃん(2歳)。[出演者65人(大人41人・子ども24人)、スタッフ11人]
 初演で小学校中学年だった子ども達が高学年になり、前回の公演のことを実によく覚えていて、歌・セリフから立ち位置や出入りまで、任せると子どもチーム全体を上手くまとめてくれました。

《公演後のアンケートより》

  • 肩を震わして歌っている子ども達に、本当に戦争の無い安心できる世の中を伝えていかなければならないと、改めて思いました。
  • 戦争反対!こういうアピールのしかたもあるんですね。拍手!
  • ここまで練習したプロセスに感心しております。

広がる地域のつながり
 平成28年より続いている地域の小さな発表会に加えて、小学校の行事や、市民活動センターの行事で他の合唱団とのジョイント、地域のお寺さんのイベントに招待していただくなど、歌を通しての交流の輪は益々広がってきています。他の合唱団(大人)とのジョイントでは、初めて『ぞうれっしゃがやってきた』以外の合唱曲(2曲)にも挑戦します。この2曲のうちの1曲では、北海道の札幌北野少年少女合唱団とのつながりもできました。
 『ぞうれっしゃがやってきた』を表現することが、もちろん楽しみの中心です。 第2回公演 Sちゃん(子どものアップ)  それによって沢山の人とつながり、様々なことを感じ、考え、自ら発信し、更に仲間が増え…平和で楽しい毎日を自らの手でつくっていける、そんな団員であり続けたいと願っています。
【いつでも団員募集中!!  亀山(携帯電話番号)まで】 新聞切り抜き   

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