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 第80号(全16ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2020年1月/No.80(通算96号)

〔年頭の挨拶〕
子どもたちの笑顔
群馬子どもの権利委員会代表  大 浦 暁 生

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。お元気でご活躍のほど、心からお祈りしております。

 私も元気で頑張りたいと思うのですが、あと1年と3か月で90歳の身はなかなか思うに任せません。とくに夕方など、すぐ眠くなる。この1月15日の6時半ごろも、相撲の中継を見たあとのNHKをつけ放しのまま、うつらうつらしておりました。
 すると、目の前のテレビから、「安中市」に混じって「子ども食堂」という言葉が聞こえてきます。これはもしかして! でも考えてみると、安中には子ども食堂のために努力している群馬子どもの権利委員会の世話人もいて、最近県内で盛んな子ども食堂活動の中でも特に活発な地域なのです。市当局も協力していますし、NHKは他にも2回放映したそうですが、テレビ放映は当然のことかもしれません。

 ともあれ、眠気はすっかり吹っ飛んで、音声を大きくし、食い入るように画面に集中しました。そして、内容はもとより、個々の画面を写し取る角度にも全体の構成にも感動しました。何よりも、子ども中心の収録がなされているのです。たとえ親に連れられて来たとしても、子ども食堂に入ればそこは子どもが主人公。何を食べてもいくら食べても叱られることはありません。子どもはすべて無料なのです。
 したいことをいくらしても自由、しかも生命の根源的維持に関わる食べ物についてこの自由が保障されるとき、子どもはどう感じるでしょうか。幸福感に満ちあふれて、顔には笑みが浮かんでくるに違いありません。この笑みは例えば芸人が創作する「お笑い」のように人工的なものではない。からだの中から自然に湧き起こってくるものなのです。まさに「満面の笑み」と言えるでしょう。
 この「食べる自由」とともに子ども食堂が保障するのは「食べる平等」です。金持ちの子も貧乏人の子も、家で何を食べていようがここではみんな同じ物を食べる。貧富による格差や上下関係は生まれません。ですから、みんな心おきなく友だちになれる。食の自由と平等に基づいた楽しい人間関係です。いじめや虐待を受けている子どもがいたら、これこそ安心できる自分の居場所だと実感することでしょう。
 NHKが収録して広く視聴者に見せたのは、この笑顔に象徴される自由と平等の幸福感でした。映像の主体は子どもの満面の笑顔ですが、それもただ一人の笑みではない。何人もが顔を寄せ合い、心を合わせて、こんな楽しいことはないと主張しているのです。

 子どもの権利がどこまでしっかりと守られ、どこまでの奥行きと広がりをもって実生活に生かされているかは、子どもたちの顔に自然な笑みがどこまで生きづいているかを見ればわかります。この笑顔がいっそう明るく輝くことを願って、多くの人たちがそれぞれの分野で努力していると言えるでしょう。今回のNHKはマスメディアとしていい仕事をしましたが、さまざまな支援が可能な行政と、いろいろな形で行政を促す私たち一般市民の努力が実を結ぶよう、この老骨にも鞭打ちましょう。


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