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 第80号(全16ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2020年1月/No.80(通算96号)

子どもが子どもらしく生きる時代を
国連子どもの権利条約 採択30周年・批准25周年
記念集会に参加して
事務局長 加藤彰男 
 本年1月11日・12日、学習院大学を会場に開催された標記「記念集会」(主催・子どもの権利条約市民・NGOの会)に参加してきました。両日とも、60名を超える全国からの参加者が、国連「第4・5回最終所見」や子どもの権利条約を踏まえた実践・研究報告に基づいて学習と意見交換を行いました。ここでは紙面の関係で、印象深かったことをいくつか選んで紹介します。

第Ⅰ部「活動の四半世紀を振り返る」では、
市民・NGOの会代表の堀尾輝久氏が、子どもの発達と子どもの権利の視点から、 「子どもの権利は子どもの最善の利益〔関心〕(the best interests of the child)の実現のためにあり、その内実は発達教育学(「発達と教育」の科学)に俟つ。実践的には、子どもの声を聴き、応答することである。子どもの最善の利益は子どもの発達と子どもの権利を繋ぐキー・コンセプトである。 子どもは発達の可能態であり、発達の主体である。子どもの欲求と要求は発達の原動力であり、子どもの権利の根拠である。子どもの権利の内実は生存、成長発達の権利であり、あそびとまなびの権利、教育への権利が中核となる。 子どもは受容的・応答的関係のなかで発達する。子どもは活動を通して、あそびを通して、まなび、成長する。子どもはいまを生き、未来を担う。平和の文化で育ち。平和の未来をつくる」 と提起されました。

第Ⅱ部「自治体における条約の実施」では、
市民・NGOの会の共同代表・三上昭彦氏が、自治体による「広報活動の意義と課題」について提起されました。 「条約42条に、他の人権条約には見られない『広報義務』規定があるのは何故か。→42条の4つのポイントは、①条約の原則および規定を、②適当かつ積極的な方法で、③成人および子どものいずれにも、④広く知らせることである。」 「広報義務があえて条文化された意義は何か。 →①子どもの権利を包括的に定めた最初の画期的な人権条約である。②子どもは権利の主体であるという子ども観とそれを阻む"強固なカベ"の存在とその打破の必要性。③条約の実現の鍵をにぎっているのは大人。④子ども自身が、条約の理念と原則、内容を知らされ、権利を保有し自ら行使する主体であるという認識と自覚をわがものにする必要性。子どもがエンパワーされることが不可欠である。」 「とりわけ子どもの生活や学習、遊びや活動の場である地域の自治体における広報・普及活動は重要である。」

第Ⅲ部「競争社会と「あまりに競争的な」教育のもとでの子どもの発達」では、
①日本体育大学の野井真吾氏から、「脳の前頭葉」の発達の歪みの問題 ②共同代表の横湯園子氏から、「体罰、いじめ、虐待の被害者の長期化していく不登校、ひきこもりの深刻な事例報告」 ③共同代表の児玉洋介氏から、「公教育へ侵蝕をすすめる教育IT企業の生々しい実態」 ④愛知教育大名誉教授の折出健二氏から、「子どもの人格を育てる学校に立て直すために→乗り越えるように働きかけるのが指導。機能主義的な子どもの見方の問題点。教師自身の「自分が自分であることの確かさ」(identity)は必須の要件。条約5条:子どもの発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示および指導を。子ども集団不在の教育改革の問題。」 が提起されました。

第Ⅳ部「第4・5回最終所見実施をめぐる論点」 第Ⅴ部「次の10年を展望する」 について紹介する紙面がありません。今回の学習会で提起されたことを参考にしながら、群馬でも皆さんの力を集めて「最終所見の読み込み」を進めていきたいと思います。

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