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 第74号(全16ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2018年7月/No.74(通算90号)

【地域の活動紹介
「子どもワクワク食堂 テイクアウト部」がスタートして半年が過ぎて・・・
~食を通して生まれた心地よい関係とみんなの居場所~
今村 井子

 昨年の11月から、地元高校生(県立松井田高校)のランチ応援として始まった「テイクアウト子ども食堂」。週一回とはいえ、朝から夕方まで準備から片付けまで大忙しの1日をこなし、早半年が過ぎた。
 昨年の秋に、突然高校での昼の購買がなくなったと聞き(地元商店の方が100円程度のパンや総菜を売りに来ていたそうだが、急な事情でできなくなった、とボランティア担当の先生から聞いた)、子ども食堂へ相談があったのが昨年の秋だった。その時に先生から、「500円のお弁当は売れない」、「50円から100円でお腹を満たしている生徒もいるから、それぐらいの値段設定で」との要望だった。
 7人に1人の子どもが貧困状態といわれている日本で、単に見えにくくなっているだけの子どもの貧困問題。これは、松井田高校に限ったことではなく、どの高校生も同じような状況にあるのではないかと思い、調べてみると、高校からいわゆる就学援助がなくなり、学用品費や教育にかかる費用に困る家庭が増えているということを知った。
 とはいっても、販売となるといろいろな手続きが必要だった。食品販売の中でも、お弁当の販売は飲食店許可のハードルが高く(天井の材質から、キッチンの密閉性など)まずキッチンの場所探しに奔走することになった。そして、100円以内の値段設定。万が一のための食中毒の保険加入、そしてお総菜を入れる容器のお金。何とか、キッチンの貸し出しに協力してくれることになった「バリアフリーペンション まついだ森の家」に光熱費の支払いなど、綱渡りのような基準を何とかクリアして実施に至っている。

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 そして何よりこの取り組みが成り立っているのは、子ども食堂実行委員さんが無償ボランティアとして活躍してくれているおかげだ。メニュー決めから買い出しまでの準備と当日の調理、販売、片付け。調理のプロではないけれど家事のプロとして、またはこれまでの仕事経験を生かしてテキパキ準備をしてくれる男性など、それぞれがそれぞれのカタチで力を貸してくれている。
 実行委員さんはそれぞれが、介護や仕事など、忙しい合間を縫ってお手伝いしてくれる。新鮮野菜を朝収穫して持って来てくれる実行委員さんもいる。そこまでして、手伝ってくれる理由は何だろうと思った。それは、高校生の「おいしかったです」とか「又買いに来ます」とか、「バイト代が入ったから」とか、学生さんを応援する喜びを実感しているから。いろんな声を生き甲斐にしているから。自分たちの出来ることが直接子どもたちの日々の暮らしにつながっているから、ではないか。そして、忘れてはならないことは、それは同時に「自分たちの未来も作っている」ことにつながっているのだとわかっているからではないだろうか。
 ある実行委員さんと「小さいけれど、歴史を作っているこの活動に、私たち大人もワクワクするね」と話したことがあった。「考えて、動くこと」でより活動がリアルになり、社会との繋がりを深める動きができるようになってきた気がしている。まだ、スタートラインだけれど、スタートラインに立てた気がする。
 そして何より、毎回、調理風景が楽しく進む。みんなが真剣で、本音で、気持ちよく進めている。ここにも「実行委員さんの居場所」が出来ていたと、最近気づいた。


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