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20072017
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I 「条約」「最終所見・勧告」の普及

1 国連子どもの権利委員会「第3回最終所見・勧告」を読む

(1)群馬子どもの権利委員会は「第3回最終所見・勧告」をいかに受け入れたか

大浦 暁生

 群馬子どもの権利委員会は、この「第3回国連勧告」をどのように受け入れたか、簡単にまとめておきたいと思います。受け入れは大きく言って、勧告を学習する活動と勧告を生かす行動の2つになるでしょう。

世話人会で勧告を学習し通信で紹介

 まず勧告の学習が必要です。月1回の定例世話人会で議論し、その論議やDCIでの論議をふまえて、世話人が『パートナー通信』で勧告を順次紹介し論じることにしました。前号では「調整」と「国内行動計画」の項目が紹介されていましたが、本号では「資源の配分」つまり政府と自治体の予算配分を論じた項目をとりあげましょう。
 勧告は日本の社会支出が低く、「人口の約15%が貧困である」のに、「子どもの幸福および発達のための補助金および手当てがそれに対応して増加していない」と言います。また、子ども手当て制度と高校授業料無料化は歓迎していますが、「中央政府および自治体予算における子どものための予算配分がまったく明らかになっておらず」と手きびしい(以上、パラグラフ19)。
 こうした懸念をふまえた勧告は、「子どもの権利の視点から中央および自治体レベルにおける予算を精査」し、「子どもの権利の優先性を反映した戦略的な予算線を設定すること」になります。また、政策の成果を計る「評価制度を確立」し、あらゆるレベルで「市民社会および子どもとの協議を確保すること」も勧告しています(パラグラフ20)。
 要するに、真に子どもの幸福と権利に配慮した一貫性のある政策がなく、政策を裏付ける予算措置もなされていない不備を突いたもので、日本政府は真摯に耳を傾けるべきでしょう。

貧困と闘い子どもの権利を守る集会

 日本の「貧困」は国連勧告でも指摘された大きな社会問題で、なんとかしなければと多くの人びとが切実に考えています。そこで、他団体とも共同し「教育ネットワークぐんま」主催の形で、「なくそう子どもの貧困、まもろう子どもの権利」と題する集会を2010年9月11日に前橋で開催しました。
 集会では、実際に国連で日本の子どもの状況を訴えた横湯園子さん(DCI副代表)を招き、国連勧告を底流に各レベルの教育現場からの報告も交えて、子どもの貧困と権利の問題を話し合いました。その概要はこの通信の前号と本号に掲載されています。

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全市町村に子どもの権利アンケート
 
 勧告を生かす行動としては、「子どもの権利に関するアンケート」を2010年10月14日付で県内全市町村に発送しました。国連勧告が出るたびに毎回実施していますが、今回は、回答が遅れぎみで、内容もやや薄いのが気になります。「国連勧告に関して国や県から情報や通達がありましたか」と毎回尋ねていますが、今回も全部「なし」です。
 ただ、このアンケートで初めて国連勧告のことを知ったという回答もかなりあり、それもアンケートの効果だと言えましょう。今後とも督促を重ねてできるだけ多くの回答を集め、その結果をもとに県当局や市町村と話し合うことにしています。

さまざまな集まりの場を活用して

 そのほか、各種の集会で子どもの権利条約と国連勧告を広める活動をしています。

 たとえば、3月12日・13日に水上温泉「松乃井」で開催される民研の全国教育研究交流集会では、「憲法・平和と教育、子どもの権利」と題する分科会を設定してもらい、群馬子どもの権利委員会からもレポートを出すことになっています。


(群馬子どもの権利委員会会報『パートナー通信』
No.44(2011年1月)
より)
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