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 第83号(全12ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2021年6月/No.83(通算99号)

シリーズ「『第4・5回最終所見』を読み解く」②
一般的実施措置に関する勧告
芦田 朱乃

 2019年1月16・17日、スイスのジュネーブで、国連子どもの権利委員会への日本政府第4・5回報告の審査会が開催され、同2月1日に最終所見が採択されました。その内容の学習を世話人会で進めており、学習のまとめをシリーズで報告していきます。

 

はじめに
「一般原則」とは、①差別の禁止(第2条)、②子どもの最善の利益(第3条)、③生命、生存および発達に関する権利(第6条)、④子どもの意見の尊重(第12条)の4点を指します。一番重要なところですが、日本政府の対応が特に弱いところでもあり、さまざまな勧告がなされています。



差別の禁止
 評価された点は、①2013年の民法改正で嫡出子と婚外子の法定相続分が平等になったこと、②2016年ヘイトスピーチ解消法で外国ルーツの子どもに対する差別的言動への対応が進んだこと、③2017年の刑法改正で強姦罪が非親告罪(被害届を出さなくても捜査・起訴される)になったことと男の子も保護されるようになったことです。
 一方で包括的な差別禁止法がないため、その制定が求められます。また、戸籍にはまだ「非嫡出子」の記載が残っており、撤廃を勧告されています。


子どもの最善の利益
 日本では子ども施策のあらゆる点で「子どもの権利を最重要として考慮すること」ができていません。子ども自身の参加もほとんど認められていません。障害者施策と同様、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」の原則の確立が必要です。多分野の視点から法律や政策を評価するシステムも求められます。


生命、生存および発達に関する権利
 第6条に関する「社会の競争的な性格により子ども時代と発達が害されることなく、子どもがその子ども時代を享受することを確保するための措置を取ること」という勧告は、日本に対する最も重要な勧告と言えるでしょう。日本の子どもには子ども時代が十分保障されていないということです。
 栄養状態や医療衛生では世界トップクラスなのに子どもの自殺が多いこと、いじめ、虐待、指導死、交通事故なども防ぎうる問題として懸念されます。


意見表明、意見の尊重
 「子どもに影響を与えるすべての事柄において自由に意見を表明する子どもの権利が尊重されていない」ことが懸念されており、「年齢の制限なく、子どもが意見を自由に表明する権利を確保し、おどかしと罰から子どもを守り、子どもの意見が適切に重視されることを確保」するよう勧告されています。


学習会での感想
子どものためと思っていても、大人の都合や理想でなく、本当に子どもの最善の利益になっていたか、自分の活動を振り返りました。



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