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 第86号(全12ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2022年4月/No.86(通算102号)

地域の活動報告
"ことば"っておもしろい
2022.3.24に二つの保育園で行った国語の授業と
ことばあそび、詩と素話の会について
花岡麻子

はじめに
 そもそもの発端は今生塾(不登校の子の居場所。塾長の金田さんが亡くなったため今はない)に小1の男の子のお父さんからの相談だった。「息子が学校にいきたくなといっている。どうしたらいいか?」
 それに対して塾生が「勉強って楽しいよ」と「教えてあげたらいい」と言い出した。
 そこで塾の大人の一人松本さんの発案で「ことばの世界、数の世界、科学の世界のおもしろさを保育園の年長さんに伝えにゆこう」ということになった。出前ミニ講座と名付けた。

 初めは、数学は金田倫光さん、科学は石橋峯生さん、松本美津枝さんがことばの分野、その延長線上で花岡のわらべうたと詩と素話、ひとコマひとり30分、2時間の講座だった。
 その内、金田さんが亡くなり、松本さんも横浜に移られたのを機に私にことばの分野がまわってきた。今は石橋さんと花岡の2人で保育園に出かけている。


ことばへの気づき
 これは今年3月24日に二つの保育園で行った国語の授業のあらましです。
 まず全3回の3回目の最終回なので年末にかけて行った1回目と2回目をざっとさらった。「わかんない」といった男の子がいたので谷川俊太郎の「わらべうた」から

    わかんない

   わかんなくても
   みかんがあるさ
   ひとつおたべよ
   めがさめる

   ・・・・・・

を3連まで誦えてはじめた。

  • ◎今みんなのつかっている言葉は日本語であること。
  • ◎物には皆な名前があること。
  • ◎日本語には6種類の音があること。
    1. ① 短かい音:たんぽぽ・ひまわり
    2. ② 長い音:ぼーし、とけー、ぞー
    3. ③ はねる音:パン、カン、ガン
    4. ④ ねじれた音:お茶、おもちゃ
    5. ⑤ ねじれた長い音:きょーりゅー、ぎゅーにゅー
    6. ⑥ つまる音:かっぱ、らっぱ、なっぱ

 ここで谷川俊太郎の「ことばあそびうた」から
    かっぱ
  かっぱかっぱらった
  かっぱらっぱ
  かっぱらった
  とってちってた
  かっぱなっぱかった
  かっぱなっぱ
  いっぱかった
  かってきてくった
と、つまる音オンパレードのこの詩を誦えた。

 これら6種類を年長さんと一緒に手を動かしながらさらった。
 1回目では、各々のお子さんの名前を2回ずつとなえながら音を確かめた。

 次に字を書く時位置が問題になるので、左と右の手を上げ下げして左右を確認。

 また日本語にはお母さんの音(母音)と子どもの音(子音)があること。見つけ方は音を伸ばして見つけること。ま――と伸ばすと「あ」になるというふうに。
 これは口の型の表【図1】を作り、そこに子ども各々の平仮名一字ずつのカードを作って、発音しながら表において確かめた(2回目の時)。


【図1】

  これは、この2つの園では子どもたちに字を教えていないため、口の型からさぐる方法をとった。

 それから鉛筆のもち方をさらった。芯を自分の方にむけておき、親指・人さし指・中指の3本で鉛筆のけずってある方のすこし上をつまんでくるっと返し、左手で(あるいは右手で)紙をおさえ指の腹を紙の上ですべらせて線を何本も書いた。

いろんなことばがあるんだ
 そしていよいよことばあそび。

  ややこしや ややこしや
  北があれば 南がござる
  南があれば 北がござる
  ややこしや ややこしや

 「ややこしや」で反対ことばをやり、反対ことばでできている「あくびのでるほどおもしろい話」をした。

 「わけがわからない」という男の子がいたが「そこがおもしろいところなんだ」と聞き流してしまったが、午後の2回目では「もう1回」といってくれた女の子がいたのでくり返した。午前の部でもそうすればよかったと思う。

そして最後に谷川さんの作った「えかきうた」

 こどもと こどもが 
 しりとり してた 
 へんな  てんきで 
 つまらない


をしてことばの分野を終えた
 次に科学の分野の石橋さんの一コマをはさんで、究極のことば遊びと私が考えるわらべうた、詩を一コマやってことば遊びを楽しんだ。


おことわり
 詩や素話を入れた部分は私の案ですが、日本語の大事な要素の部分はほぼ松本美津枝さんが考えて組立てて下さったものを私がなぞって行いました。

"わけがわからない" から広がっていく世界

 花岡さんのお話の会に参加しました。邑楽町にある 「風の子保育園」の広い廊下には子どもたちの絵がいっぱい。  子どもたちにはお話の会の最終回でも私には初めて。 次々と繰り出される「にほんご」の音の世界に身体ぜんぶが弾んでしまいそう。子どもたちは日々口にして いる「にほんご」の背中(それともお腹)にこんなに不思議な世界があると気づいている、まちがいなく…LINE時代だからこそ"声だけ"で頭の中にいろいろな面白い世界を繰り広げることができると気づいてほしいです。
 「使える英語…」などと言って、小学校英語の教科化 が始まりましたが、実用外国語の以前に「母語」の土壌か ら感じる力・考る力・表現する力を育んでいくことの方 がずっと大事だと思います。
 花岡先生、風の子保育園のスタッフの皆さん、そして何よりも元気いっぱいの子どもたちに心からお礼申し上げます。
加藤彰男(代表世話人)

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