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 第82号(全16ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2021年2月/No.82(通算98号)

コロナ特集②
危険!学校を突破口に、
コロナを追い風に
進む第4次産業革命
高橋 保(公立小学校教諭)


 2020年、学校では一斉休校をしたり分散登校をしたり、消毒をしたり、検温をしたり、距離をとるのに床にテープを貼ったり、教室を分けての給食を食べたり、廊下での配膳などを行ったりをしてきました。音楽の授業ではしばらく歌えない、鍵盤ハーモニカやリコーダーは演奏できないなどが続いていました。運動会は軍手をはめて行い、リレーはスピードスケートのパシュートのように、向こう側とこっち側からスタートしました。持久走大会もなくなり、決められたコースを一定時間で何往復と何十メートルまで走れたかを競い合いました。
 秋ごろになると、1~2波では、子どもへの感染や発症は極めて少ないことや、学校でのクラスターはほとんどが部活動の合宿などであったことなどがわかってきました。そして、栄養の問題、運動の問題などでも、家庭よりも学校の方がかなり安全であるということもわかってきました。
 学校の苦労以上に学校休校中の父母の苦労はたいへんなものだったでしょう。
 パソコンを通してテレビ画面に色々な物を映す学習形態が多くなりましたが、子どもたちもよくそれに対応してくれました。
 しかし、失われたものははかり知れません。子どもたちには、交わって学ぶことはもちろんですが、じゃれあったりつかみあったりして学ぶこともたくさんあったのです。 ところが、学校にはもっと大きな問題が襲いかかっています。「ギガスクール構想」と呼ばれる、教育活動をすべてAIが行う学校づくりが、コロナ危機を追い風にして強力に進められているのです。
 教育の民営化が進んだ外国では、一人一台のパソコンの前でそれぞれの子どもがそれぞれの学習をする姿が広がっています。「教師一人を雇うよりも全員にパソコンを与えてしま方が安い」のだそうです。現在のパソコンを利用した授業は教師がいて、必要な情報を子どもたちのパソコンに送ったりしますが、ギガスクールでは教師は不要となります。かつての産業用ロボットでは、トラブルに対応する人が必要でしたが、これからはトラブルへの対応や復旧もAIが行い、広い工場に人間が一人もいないという状況が当たり前になって行くのです。 ギガスクール構想は第4次産業革命に対応していて、蒸気機関の1次産業革命、電気の2次、3次のロボットによる産業革命にくらべると、4次はその様相がまったくちがっています。人間がまったく必要なくなると言われます。生物と無生物の区別がわからなくなるとは、たとえば犬を訓練して盲導犬にするよりも、介護ロボットを作る方が、そしてそれよりも、本物の犬に盲導犬に必要なプログラムを埋め込めばよいということでしょう。
 神奈川県のある私立の小学校の玄関にはペッパー君がいて、登校する児童の名前を呼んで「おはよう」の声をかけると同時に、「ちょっと熱が高いです」などもわかって職員室に知らされるようです。ギガスクール支持者の方は、「紙にテストの答えを書かせるなんてナンセンス。タブレットに入力させれば採点も成績処理もいらない」と言います。神奈川県の知り合いの教師は、学期末に自動的に成績が出てくるシステムを作るために毎週のように休日出勤をしています。
 「コロナだ!それじゃあリモート学習だ」ということでコロナが大変になってきたときに、すかさずタブレット端末を児童生徒全員に配るという話が降ってました。多くの先生たちが求めていたのは当然、十分はなれても教室で給食が食べられるくらいの少人数学級だったことは言うまでもありませんが。
 「家で充電させる」「電池がだめになったら父母負担でとりかえる」「壊したら父母が弁償する」など大変な混乱の中で、今まさにタブレット端末やノートパソコン配布計画が進んでいます。そして、教員研修が圧倒的にパソコン、タブレットの使い方になっています。それでも、満足につかえると思っている先生はほとんどいません。
 もちろん菅政権はコロナをチャンスにして、日本の4次革命をすすめようとしているわけですが、その突破口を学校にしようとしているのがギガ構想です。 技術が進歩していろいろ便利になることは悪いことではありませんが、投資家の利益のためにすべてが動いている社会のままでは、ふつうの人々は便利になるどころか、働くところもまったくなくなってしまうということです。
 今こそ、便利な技術がみんなのしあわせになるような社会に作り変えて行く重要性が増していると思います。

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