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 第78号(全16ページ)からの転載です。

パートナー通信

パートナー通信タイトル
2019年7月/No.78(通算94号)

【地域の活動紹介
NPO法人 利根沼田地域ボランティアセンター
~ごったく広場~
真下 淑恵 

 「ごったく広場」が沼田市下之町の空き店舗を借りてオープンしたのが2004年の8月ですから、今年で15年目を迎えることになります。  「ごったく広場」は「ごったくまつり」の実行委員会が中心になって立ち上げた「みんなの居場所」です。年1回のおまつりだけでなく、地域に開かれた場を作りたい、ハンディのある子と親で街中でカレー屋さんを始めたい、という想いから始まりました。
 第1回の「ごったくまつり」は、今から23年前の1996年11月に「環境ボランティア研究集会」として川場村文化会館で行いました。その年に群馬県ボランティア協議会が発足し、北部地区の研究集会ということで「環境」をテーマに行いました。午前中はネイチャーゲームや木の葉染、ぼかしの使い方など環境にかかわるワークショップ、午後は映画上映会(「続あらかわ~水の共同体をもとめて~」)、各団体の活動発表も会場で行われました。環境にかかわる活動は難しいことではなくて「楽しいことをしていたら環境にいいことだった」というコンセプトで、夕方からは交流会も行いました。

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 2回目からは会場を沼田市保健福祉センターに移し、フリーマーケットが始まり、第3回までは環境ボランティア研究集会~エコデパートとして、第4回からは「ごったくまつり」と名前を変え、環境問題だけでなく地域で活動する団体の発表・交流の場へと形を変えていきました。
 「ごったくまつり」の第5回(2000年)からハンディのあるメンバーとお母さんたちで「カレー屋さん」を始め、安くておいしいので評判になり、毎年多くの人が楽しみにするようになりました。そのカレー屋さんのメンバーとごったくまつり実行委員会で市内中心部の空き店舗を探し、2004年8月に「ごったく広場」を開設しました。行政の補助金が見込めるわけもなく、実際に家賃や光熱費を払い続けられるのか、不安を抱えながらのスタートでした。カレーやうどんなどを提供するコミュニティカフェ「おしゃべり茶店」も始まりました。

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 「ごったく広場」を運営する団体として利根沼田地域ボランティアセンターを2004年11月に設立し、会員を募りました。民設民営の中間支援センターとしてボランティアや市民活動・NPOの設立などについて相談を受けたり、イベントについて情報発信などのお手伝いをしたり、印刷を安価でできたり、会場もお貸しするという活動内容です。
 1年目は年度途中からの出発でしたが、2年目になると財政的に持続できるか不安になり、事業を実施したり、委託されるために法人格が必要ではないかという議論がされるようになりました。検討の結果、事務手続きは大変だけどNPO法人になることを選択し、2006年設立総会を開きました。総会記念シンポジウムとして「これからの協働のありかた」を実施し、沼田市長、群馬県NPO・ボランティア推進課長、桜井常矢高経大教授と当センター理事により、協働の大切さについて話し合われました。このシンポジウムの後、沼田市は「協働」に向けて大きく舵を切り、「沼田市市民協働推進市民検討委員会」を設立、検討の結果、「沼田市市民協働推進基本方針」を策定し、市民活動センター「ぬまたん家」を公設公営で開設しました。「ぬまたん家」と沼田市社会福祉協議会、当センターは情報交換・協力しながらそれぞれの事業を進めています。
 「ごったく広場」の自主事業としては 「循環型社会に向けて」 「障がい者の自立支援に向けて」 「子育て支援」 「居場所・高齢者・介護予防・生涯学習」などの取り組みを行っています。本稿では、②と③について主に説明させていただきます。
 「子育て支援」としては、「ごったくまつり」の中で「段ボールアート」に取り組んだり、木の実を使ったおもちゃ作りなどに取り組んできました。担当した「ちびっ子ランド」は、沼田になんとか児童館をつくりたいとの願いから、公民館などで親子で遊ぶイベントを実施してきた団体です。2005年からは利根教育事務所の提案を受けて、ボランティアを呼び掛け、沼田小学校で「放課後子ども教室」を始めました。月2回1,2年生を対象にものづくりや遊びなどの様々な活動や読み聞かせをしてきています。
 2006年に「全国ボランティアフェスティバルぐんま」が行われ、利根沼田地区では当センターや読み聞かせの会などが連携して「利根沼田子どもを育てんべえ委員会」を設立、「聞いてがっさいわらべうた」の分科会を担当しました。これをきっかけに2007年7月、夏・冬休み前に休み中に遊びに行けるイベント等を紹介する「キッズニュース」を発行し、利根沼田の小学生全員に配布するようになりました。その後も当センターと育てんべえ委員会が協力しながら草花遊び、絵本・紙芝居・わらべ歌など親子で楽しむイベントを実施してきました。2010年には当センターが事務局になり、沼田で「紙芝居サミット~すばらしい紙芝居の世界」を開催、中川李枝子さんと二俣英五郎さんをパネリストとしてお招きし、紙芝居の楽しさを広く紹介しました。交流会の際には「おしゃべり茶店」のメンバーが作ってくれた料理を皆でたのしみました。


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 2011・12年には地域の課題をNPOと行政が協力して解決していく「新しい公共」の拡大と定着を図るための群馬県NPO等活動支援事業「地域づくりモデル事業」を群馬県が募集しました。これまでの活動の中で子育て支援団体のネットワークを作ってきた当センターは「沼田市子育て支援ネットワーク」(以後「子育てネット」)の設立を呼び掛けて事業を申請し、認定されました。沼田市は、児童館がほしいという要望に応えて保健福祉センターの1室にマットを敷いて親子で遊びに来られる場として「子ども広場」をつくったところでした。「子育てネット」の事業として、そこに棚を設置し絵本をそろえ、毎週月曜の午前中には読み聞かせの会や和い輪いクラブなどの子育てにかかわる団体が、親子で遊べるイベントを企画しました。毎月ニュースを発行し、親子で楽しめる映画会やコンサート、学習会なども企画しました。
 2年間のモデル事業が終わったところで「子育てネット」は沼田市より「子育て支援拠点事業」の委託を受けることになりました。「子育てネット」は任意団体なので、NPO法人である当センターが、事務局となって会議を開き、子育てネットの団体の皆さんの協力を得たり、意見を聞きながら運営する形です。「子ども広場」に月曜から金曜の10時から3時まで2人の職員が常駐し、就園・就学前の親子で遊びに来る場として、情報の提供をしたり、相談にのったりの活動を続けてきました。貴会報「パートナー通信52号」に当時の活動を紹介していただきました。

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 狭い部屋をたくさんの親子が利用するので、何とかもう少し広い場所を確保できないだろうかと子ども課に折衝してきた結果、今年度リニューアルした市役所「テラス沼田」の中に広い場所を確保することができました。設計の段階からかかわり、親子トイレやベビールーム、飲食の部屋や事務室などの設置や遊具の選定など子ども課と二人三脚で進めてくることができました。保健福祉センターからの引き続きで「おさがりコーナー」もあり、必要な方には無料で持っていってもらい、着なくなった洋服を持ってきてくれる人もいます。保健福祉センターの時には、週5日型でしたが、今年度からは週6~7日型になり、土曜日もオープンしています。正職員1人と非正規職員3人体制で時間も10時~15時からだったのが、9時半~16時となりました。5月7日のオープン以来、5月は1日平均84人、6月に入っても1日平均114人と多くの親子の皆さんに遊びに来ていただいています。特に土曜日には、お父さんと一緒だったり、おじいちゃん、おばあちゃんも一緒に来ていただくことが増えています。
 一番の課題は、小学生が利用できないことです。子育て支援拠点事業(子育て支援センター)なので、就学前の親子が遊びに来るところです。就学前の兄弟姉妹がいる場合は「小さい子の面倒を見てね。」ということで利用してもらいますが、小学生のみ、または小学生と親の場合は事業の性質上、断らざるを得ません。
 児童館があれば、「ここは小さい子の遊ぶところだから児童館で遊んでね。」と言えるのですが、子育てネットは、「沼田にも児童館を作ってほしい」という署名運動をきっかけにできた団体だけに、忸怩たる思いがあります。なんとかいい方法がないだろうかと考えています。
写真  「おしゃべり茶店」については9年間頑張って有償ボランティアで続けてきましたが、お母さん方も高齢化し、休業することになりました。その後「赤い羽根」の助成をいただき、週1回火曜日に「ハンディがあっても働き隊」事業として「カレー屋さん」を2014年4月から2019年3月まで5年間続けてきました。5月からは「テラス沼田」1階にオープンした福祉カフェ・ショップ「Ippo(いっぽ)」に引き継がれ、メンバーもそこで働けるようになりました。ただ、全員が働けているわけではないので、これも課題として考えていきます。
 今年度からは、沼田市(社会福祉課)、沼田市社会福祉協議会と当センターが連携した事業「フードバンクぬまた」も始まりました。「子ども食堂」にも協力をしています。一歩ずつできることを地道に進めていきたいと思っています。❦


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